女は二度決断する

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【解説】

 

ドイツ、ハンブルク。生粋のドイツ人のカティヤはトルコからの移民であるヌーリと結婚する。ヌーリは麻薬の売買をしていたが、足を洗い、真面目に働き、息子も生まれ、幸せな家庭を築いていた。 ある日、ヌーリの事務所の前で白昼に爆弾が爆発し、ヌーリと愛息ロッコが犠牲になる。トルコ人同士のもめごとが原因ではないか?と警察は疑うが、移民街を狙ったドイツ人によるテロであることが判明する。突然愛する家族を奪われたカティヤ。憎悪と絶望の中、生きる気力を失いそうになりながら、カティヤはある決断をするのだった。(Filmarks)

 

【感想】

 

今までドイツ映画は両手で十分数えられるほどの本数しか見てきてないが、麻薬問題をテーマにした映画や眠くなるアート路線の映画という印象しかなかった。というわけで、この映画は見る前から正直全然期待していなかったのだが、なんとそれを大きく裏切る結果となった。最初から最後までスクリーンに釘付けになってしまうとは露にも思いませんでした。特に中盤の法廷劇はモダンで無機質な法廷での加害者側弁護士(のとても嫌な奴)との応酬なんかは非常に緊迫感がありました。

 

この映画に誘ってくれた友人のN氏(星新一でよくでてきますね)はドイツ語ペラペラですので、原題「Aus dem Nichts」の意味を聞いたところ、英語に直すと「Out of  Nothing」との事です。敢えて日本語に訳せば、「ゼロから(の出発)」でしょうか。世界配給はワーナーがやっており、英語圏での題名は「In the Fade」(敢えて日本語で訳せば「消えゆく中で」か)。

 

さて、邦題の「女は二度決断する」はラストのギリシャのあのシーンを指し示しています。もしこの映画がハリウッド映画ならば「女は一度のみ決断する」になっていただろうラストです。人によっては後味悪い「二度目の決断」ですが、私はそうはとりませんでした。もし、彼女が一度の決断だけであるならば、復讐の連鎖は続いただろうと思われます(だって、顔割れてますもんね。ギリシア右翼に)。それに対して二度目の決断内容は、その復讐の連鎖の可能性に自分で終止符を打ってしまいます。

 

中盤の法廷シーンで加害者の親がでてきますが、被害者である主人公はその親と気持ちを一つにする場面があります。愚かな息子を持った父親の哀れさに心を動かされたわけです。その父親の代りとして、ラストの決断は母親が子供と心中するのと同類の気持ちが働いたのではないかと推測します。一緒に逝こうと。

 

この映画はテロによる復讐の連鎖に辟易したヨーロッパ諸国人が辿り着いた「汝の敵を愛せよ」の境地を描いた映画であるような気がします。